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長野県飯山市、戸狩温泉スキー場のすぐそばに佇む「高源院」は、豊かな自然に囲まれた静かな古刹です。
別名は「あじさい寺」。冬は多くのスキーヤーでにぎわうこの地も、6月下旬から7月中旬にかけて、境内を彩るあじさいが見頃を迎え、訪れる人々をやさしく迎えてくれます。
その名の通り、参道やその周辺にはあじさいが植えられており、毎年600株、1万本ものあじさいが美しく咲き誇ります。青や紫、白など色とりどりのあじさいに包まれた境内には静かな時間が流れ、花々を眺めながら歩けば、心まで涼やかになるようなひとときを味わえます。
今回は、そんな高源院がなぜ「あじさい寺」と親しまれるようになったのか、その始まりの物語をひもときます。そして、美しい景観を守るための住職の奮闘、訪れる人々の心を癒やす境内の見どころまで、高源院の魅力をたっぷりとご紹介します。
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江澤 遠大 (えざわ・えんだい) さん
飯山市出身・在住。平成29年(2017年)に先代である父親から後を継いだ29代目のご住職。日々、あじさいの管理を手がける。冬になると、戸狩温泉スキー場のパトロール副隊長としても活躍中。
江澤住職「昭和30年代頃、雑草の管理が大変だったから、ばあちゃんがあじさいを植え始めたって聞いてます」
高源院のあじさいの歴史は、昭和30年(1955年)頃に「雑草対策」から始まりました。
きっかけは、現住職のおばあさまが境内の雑草管理に苦労していたこと。草が生い茂る場所に花を植えれば管理の負担を減らせるのではないかと考え、おばあさまが大好きなあじさいを少しずつ植え始めたのです。

最初は近くの山からヤマアジサイを移植。その後も、おばあさまは通院で飯山市街へ出かけた帰りに花屋へ立ち寄り、あじさいの鉢植えを購入しては路線バスで持ち帰ったといいます。その姿は、現住職の幼い頃の記憶にも強く残っているそう。
こうして集めたあじさいを一株、また一株と植え続けた結果、やがて長い参道や境内を彩る花の風景が生まれました。雑草に悩まされていた境内で始まった小さな工夫は、年月を重ねながら多くの人々を魅了する景観へと育ち、今日の「あじさい寺」高源院の原点となっています。

地道に育てられてきたあじさいは、やがて地域の人々にも親しまれる存在となり、平成9年(1997年)には「いいやま景観賞」を受賞。これは、飯山市が景観形成や花と緑のまちづくりに貢献した施設や個人、団体を表彰するもので、美しい景観を育み続けてきた取り組みとして高く評価されました。
さらに平成18年頃(2006年頃)からはテレビや新聞などのメディアでたびたび紹介されるようになり、高源院の名は県内外へと広がっていきます。テレビの天気予報で背景映像として境内のあじさいが放映されることもあり、その美しい景観は多くの人々の目に触れるようになりました。
やがてマイクロバスや観光バスで訪れる人も増え、高源院は「あじさい寺」として広く知られる存在に。こうして、多くの人々を惹きつける飯山市の初夏の観光名所へと成長していったのです。



境内には約1か月にわたりあじさいが咲き続け、桜のように数日で終わることはありません。
見頃の目安は6月下旬〜7月中旬ですが、境内が広く、品種によって開花期間が少しずつずれるため「まだどこかで見頃」の状態が長く続くのもこの寺の特徴です。
住職イチオシの時間帯は朝〜午前中。昼になると気温が上がり、花がしおれやすくなるので、涼しい時間帯にゆっくりと楽しむのがおすすめです。

毎年見事な花を咲かせるあじさいたちは、住職自らの手によって育てられています。
雑草の除去、害虫の見回り、落ち葉の片付けと、その管理は日々休むことなく続きます。しかし、訪れる人々を魅了するこの美しい景観の裏側には、年々厳しさを増す自然との闘いがあることはご存知でしょうか。
近年、特に深刻な被害をもたらしているのが 「あじさいチョッキリ」と呼ばれるゾウムシの一種。
この虫は花や新芽が育つ茎に傷をつけて産卵し、内側から茎を食害させます。 産卵された茎は徐々に衰弱し、最終的には枯れてしまうため、「花が咲くはずだったのに咲かない」という状態を引き起こしてしまうのです。

この被害に悩まされた2025年夏以降、住職はゾウムシの生態や駆除方法を調べ、さまざまな対策を行っています。
①落ち葉の除去
秋には落ち葉を丁寧に除去。地面に積もった落ち葉は、害虫が越冬するための温床に。この作業を怠ると翌春以降の害虫被害が拡大するため、地道ながら欠かせない予防策です。
②被害を受けた茎の早期除去
あじさいチョッキリの被害を受けた茎は剪定し、速やかに境内外へ持ち出して処分しています。これは、茎の内部に産みつけられた卵が孵化して周囲に拡散するのを防ぐためです。
③農業用殺虫剤の適切な散布
農業用の殺虫剤を使用し、あじさいチョッキリの成虫・幼虫への対策を行っています。住職自らタンクを背負い人力で、初夏までに複数回散布しています。

江澤住職「2025年よりは良くなっている。でも、まだ課題は多い。毎年、試行錯誤しながら取り組んでいます」
もちろん、害虫被害だけではありません。境内に広がる厄介な葛(くず)のつるとの闘いや、近年の夏の気温上昇・降水量の減少といった自然環境の変化にも日々向き合いながら、毎年あじさいのある美しい景観が大切に守られているのです。

美しいあじさいを眺めながら、普段の大変さを少し忘れてもらえたら、という江澤住職。
「お地蔵さんも観音さんも、人々の苦労や悩みをともに受け止めてくださる仏様。そんな仏様たちが出迎えるこの場所で、あじさいを見て、少しだけでも心が穏やかになってもらえれば嬉しいですね」
高源院といえば、あじさいだけでなく「ゆうゆう地蔵」と「ぽっくり観音」というユニークな名前がついた仏様も見どころのひとつ。
特定の意味を押しつけず、手を合わせる方が自由に解釈できるよう、願いを込めた「ゆうゆう地蔵」は、「悠々」「優々」「遊々」「YOU YOU」など、参拝者それぞれの想いでお参りできます。
また、ピンコロ地蔵から着想を得て名付けた「ぽっくり観音」は、無病息災を祈るのではなく、持病や不調と上手に付き合いながら、無理せず自分らしく過ごすこと。そして人生の最後には、苦しまずに「ぽっくり」と楽に旅立てるように祈りが込められています。

参拝の証として、あじさいの絵柄が入った「御朱印」も授与しています。
(※住職が在寺している場合は直書き、不在時は書き置きでの対応)
色とりどりのあじさいが咲き誇る境内をゆっくりと散策しながら、仏様に手を合わせるひととき。
夏の暑さを忘れさせてくれるような涼やかな風景の中で、心穏やかな時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。
| ◎2026年 開花状況 見頃(6/24更新) |
| お問合せ | 曹洞宗 三嶋山 高源院 |
| 住所 | 飯山市豊田6356 |
| TEL | 0269-65-2202 |
| 駐車場 | あり |
| 最新情報はこちら | https://www.facebook.com/ajisaidera/ |

戸狩温泉スキー場のゲレンデから徒歩約1分、気軽に立ち寄れる日帰り温泉施設です。
源泉100%の弱アルカリ性温泉は、美肌効果をはじめ、疲労回復や神経痛、関節痛の緩和が期待される泉質。開放感のある露天風呂からは、四季折々の表情を見せる里山の風景を眺めることができ、心も体もゆったりと癒やされます。
▶︎高源院から約550メートル、車で2分ほど/駐車場あり
https://togari.jp/winter/spa/

太田地区瀬木集落にある小さな地蔵堂で、別名「子育て地蔵」。子宝や子どもの健やかな成長を願う人々の信仰を集めています。堂内の天井や壁には全国日曜画家連盟の方々が奉納した板絵で埋め尽くされており、畳に寝転がりながらゆっくりと鑑賞できるのも魅力です。
▶︎高源院から約400メートル、車で2分ほど/駐車場なし


戸狩温泉の宿泊施設「石田屋」内にあるそば処。自社生産のそば粉と、ブナの原生林から湧く名水「日光ゆきしみず」を使い、丁寧に手打ちされた富倉そばを味わえます。「オヤマボクチ」という植物の繊維をつなぎに使った伝統製法ならではの豊かな香りと力強いコシが魅力。飯山の郷土食を楽しみたい方におすすめです。
▶︎高源院から約300メートル、車で1分ほど/駐車場あり
http://www.ishidaya.co.jp/


20種類のスパイスを独自にブレンドしたカレーに、地元産の「菜の花みゆき卵」とチーズをのせて焼き上げる「焼きカレー」が人気。香り豊かで奥深いスパイシーな味わいは、一度食べたらクセになる美味しさです。お米は、全国食味コンクール金賞受賞歴を持つ地元農家がカレーに合うよう栽培したこだわりのものを使用しています。
▶︎高源院から約350メートル、車で1分ほど/駐車場あり
https://www.penti.jp/


東京都・原宿で人気のラーメン店が長野県に初上陸。戸狩温泉 暁の湯の施設内でこだわりの一杯を楽しむことができます。看板メニューの「中華そば」は、鶏ガラをじっくり煮出した清湯スープに魚介の節の旨みを合わせた奥深い味わいが魅力。また、鶏・黒豚・魚介の旨みを凝縮した濃厚なつけ汁で味わう「つけ麺」も人気を集めています。
▶︎高源院から約550メートル、車で2分ほど/駐車場あり
https://www.instagram.com/togarihajime/


明治2年(1869年)創業の老舗酒蔵。豪雪地帯・飯山の清らかな水と、長野県産の希少な酒米「金紋錦」などを使用した代表銘柄「北光正宗」で知られています。全国規模のコンテストや長野県内の品評会で数々の受賞歴を誇り、その品質は高く評価されています。直営店では定番商品に加え、蔵元ならではの限定酒や季節限定の商品も購入でき、お土産選びにもおすすめです。
▶︎高源院から約1.5キロ、車で4分ほど/駐車場あり
https://www.kadoguchi.jp/

美しいあじさいと仏様が迎えてくれる高源院。
その周辺には、温泉やグルメ、歴史ある酒蔵など、この地域ならではの魅力が数多くあります。あじさいを眺めながら心を癒やし、里山の風景の中でゆったりと過ごす一日を。
ぜひ高源院を訪れた際は、周辺スポットにも足を延ばして、戸狩温泉エリアの魅力を存分に味わってみてくださいね。
| お問合せ | 戸狩観光協会 |
| 住所 | 飯山市大字豊田6356-2 |
| TEL | 0269-65-3161 |
| WEB | https://www.togarionsen.jp/ |







執筆:くわはらえりこ
公開日:2026/06/26