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北竜湖

3年に1度の奇祭「柱松柴燈神事」

目次

■3年に1度、天下の奇祭・柱松柴燈神事

1300年前、修験道の開祖役の行者によって創立された 北信濃三大修験霊場の小菅山。
現在でも歴史的建造物が多く、古人の軌跡が残っている小菅地区は、地元でも関心が高まる場所として知られています。

そんな歴史の深い小菅地区では、毎年夏に例大祭が開催されており、三年に一度だけ「天下の奇祭」と言われる祭事が行われているのはご存知でしょうか。

それが、国重要無形民俗文化財にも指定されている『柱松柴燈神事』(はしらまつさいとうしんじ)です。

これは山伏の修験行事として 奈良時代から続くもので、通称「小菅の松子」とも言われます。

この祭事では、古式豊かな行列に続き、天王様「スサノオノミコト」が乗る神輿が担ぎ出され、高さ約4mの柱松を2基立て、「松神子」(まつみこ)と呼ばれる子ども2人がそれぞれの柱に上がり、火打ち石で火をおこし、先端にある尾花に点火する早さを競う火祭りが行われます。

2本の柱松の、上(かみ)が勝てば 天下泰平、下(しも)が勝てば 五穀豊穣が与えられるという言い伝えが残っています。

実は、令和四年の今年!その三年に一度の年なのです。

ということで、この柱松柴燈神事をより楽しんでもらえるよう、お祭りの魅力をご紹介します!
ぜひご参考にしてみてください。

■宮司と氏子総代会長に聞いた!祭事の見どころ

古くから 代々受け継がれてきた「柱松柴燈神事」。もちろん 一般のお客様も見学自由なのですが、なにも知らずに見てるだけじゃもったいない…!内容を理解すれば、このお祭りの面白さも倍増。そう、1つ1つの祭事すべてに意味があるのです!

と、いうことで・・・

今回、小菅神社 12代目の宮司・鷲尾さんと、氏子総代会長・吉原さん(※2019年の際の氏子総代会長)にお話をお伺いし、

①火口焼神事(ほくちやきしんじ)
②例祭行列(れいさいぎょうれつ)
③神輿渡御神事(みこしとぎょしんじ)
④柱松柴燈神事 ★メイン

上記、4つの祭事の「見どころ」を教えていただきました!

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① 9:30~ 火口焼神事

柱松に点火させる際、火打ち石で火打ち金をたたき、そこからでた火花を火口で受ける、といった流れになるのですが、その火口をつくる作業が『火口焼神事』です。

使用するブナの枯れ木は、小菅神社奥社の上に広がるブナ林から。
護摩堂の東側庭で、枯れ木を燃やし 芯まで真っ赤になるよう、周囲が赤くなったものを火箸で持ち、フーフーと息を吹きかけます。神事の際に火打ち石ですぐ着火できるよう、松子若衆はみな真剣です…!

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② 10:00~ 例祭行列

火口焼神事のあと、護摩堂を出発。
里社で例祭の儀を執り行うため、里社本殿に向かって行列で移動するのが『例祭行列』です。

この行列は、区長、氏子総代、会長が先導し、猿田彦、手力雄命(たぢからおのみこと)、鈿女命(うずめのみこと)といった役者たち、太鼓や笛を担当する伶人、艶やかな巫女たちなどが続きます。

これはかつて徳川時代に、中野代官所より奉行1名、足軽6名が出張させられ、明治三年まで毎年祭りの監督を行っていたという歴史があったことから。
現在も警固は陣笠をかぶり、六尺棒を持ち、祭りの警護役をしています。(今でいうSPですね!)

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③ 13:00~ 神輿渡御神事

里社神輿殿から講堂前の祭会場東側にある 御旅所まで、神輿に天王様「スサノオノミコト」を乗せて移動するのが『神輿渡御神事』です。

20人ほどの法被姿の担ぎ衆によって神輿が担がれますが、参道の急な石段(なんと66段!)を下りるには至難の業のよう。(ちなみに 天王おろし とも言われます)

石段を無事に下りたら里社鳥居までの間、神輿を進めようとする担ぎ手 と 押し戻そうとする担ぎ手が 声を出し合って一進一退の攻防を何度も展開されるのです。

攻防のあとは、途中「天王石」と呼ばれる石の上に一旦神輿が置かれたのち、御旅所へ据えられ神事が続きます。

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④ 15:00~ 柱松柴燈神事

15:00護摩堂より柱松行列が出発し、講堂の祭式場まで移動してからメインの祭事が行われます。

上、下と呼ばれる2本の柱松に、松神子と呼ばれる5~7歳くらいの子どもが柱松の上に担ぎ上げられ、どちらかが先に点火するかを競うというのが 『柱松柴燈神事』です。

使用する柱松は、高さ4メートルほど、直径1.2メートル。雑木を山ブドウの蔓で束ね、上部には杉の枝、桂、尾花(ススキ)で飾られます。

競いはじめるスタートの合図は、「松太鼓手による太鼓の合図」。なのですが、なかなかその太鼓を叩かないのです…!そんなおどける仕草も必見!とのこと。

「ポンッ」と太鼓が鳴ったら、松神子を担いだ若衆たちは猛ダッシュ!それぞれの柱松に駆け上がり、火打ち金と火打ち石を使って、尾花に火を点けます。尾花に火が点いたところで松神子は柱松から降ろされたのち、若衆におんぶされて「休み石」まで走り、石の上に到着した時点で決着!となります。

柱松が倒されたあと、松神子と若衆は猛ダッシュで祭り会場を後にしますので、余裕のある方は、休み石で決着が着く瞬間もお見逃しなく!

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■2022年の柱松柴燈神事は、 7月17日(日)開催!

※こちらの画像は令和元年のもの

上記でご説明した通り、17日(日)に火口焼神事、例祭行列、神輿渡御神事、そして柱松柴燈神事が行われますが・・・実はこのお祭り、祭事は17日(日)だけではないのです!

◆6月30日(木)14:00~ 小菅神社大祓神事
柱松柴燈神事における最初の神事。松神子奉納者も一緒に祭事に参列し、心身を祓い清め、無事に柱松柴燈神事が執り行われることを記念します。

◆7月10日(日)13:00~ 大燈籠・大幟旗建て
祭事部中心に行い、区民が手伝います。大燈籠は毎年建てますが、大幟旗は3年に1度の組み立てです。

◆7月10日(日)14:00~ 柱松建立
柱松柴燈神事で使用する「柱松」の建立作業。小菅区民だけでは作れないので、周辺地区の区民も一緒になり、講堂庭祭式場に、上(東側)下(西側)2基の柱松を建てます。

◆7月16日(土)14:30~ 松神子禊
松神子は、護摩堂泉水にて宮司と一緒に禊を行います。宮司が桶に入った水を松神子にかけ、身体を清めます。

◆7月16日(土)17:30~ 奥社祭
禊が終わったのち、清められた身体で奥社へと登拝。奥社本殿にて、奥社祭・松神子安全祈願祭が行われます。

◆7月16日(土)20:00~ 献燈祭(夜宮)
講堂前・社務所前・里社では獅子舞、社務所前鳥居では 猿田彦注連縄切が行われます。

※いずれも、一般のお客様も見学可能です。作業・祭事の邪魔にならない程度にご見学ください。
新型コロナウイルス感染症拡大の状況によっては一般の見学ができなくなる可能性もございます。

さまざまな人たちの協力の元、たくさんの時間と費用をかけ、こうして歴史と伝統を守り、受け継いでいくー。


だからこそ、多くの方々にこのお祭りをみてもらいたい!と宮司さん・氏子総代さんは語ります。

■さあ、柱松柴燈神事を見に行きましょう!

★小菅神社 小菅式年大祭
令和四年7月17日(日)
〒389-2322 長野県飯山市瑞穂小菅 講堂庭祭式場ほか

当日は周辺道路に交通規制があります。係員の案内に従って駐車をお願いします。

国の重要無形民俗文化財にも指定されている、3年に1度の貴重なお祭り。今回を見逃すと次回は3年後の令和7年ということですね。(どうやら松神子役は、令和7年まで決まっているとか…!※2019年の時の情報)

古からの歴史と伝統が受け継がれてゆくその瞬間を、ぜひ間近でご覧ください!

では、よい週末を~!

お問い合わせ先信越自然郷 飯山駅観光案内所
電話0269-62-7000
URLhttp://kosugejinja.jp/
小菅までのアクセス【公共交通機関利用】
JR北陸新幹線飯山駅 → 長電バス 関沢バス停下車 → 徒歩約10分 小菅神社里社
JR北陸新幹線飯山駅 → タクシー約20分 → 小菅神社里社
JR飯山線 戸狩野沢温泉駅 → タクシー約10分 → 小菅神社里社

【自家用車利用】
上信越自動車道 豊田飯山IC → 国道117号線 約20分 → 小菅神社里社
駐車場あり ※係員の指示に従ってください

2019年公開
2022年5月9日更新

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