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2022年10月14日、待望のリニューアルオープンを果たした 道の駅「花の駅 千曲川」。
お土産売り場・農産物直売所と、レストラン『Café里わ』の規模を拡大し、さらに利用しやすい魅力的な道の駅へと生まれ変わりました。
リニューアルにともない新たに誕生したコンセプトは、「みらいを、たがやす」。そして、「ひらめき、みちる」。
今回、道の駅リニューアルプロジェクトに携わったメンバーが会議を重ね、それぞれの想いを共有しながら言葉を紡ぎ、飯山の顔となるような施設にふさわしいコンセプトが生まれたのです。
地域を伝え、地域をたがやす
「いいやま」をはじめとした北信濃の暮らしの基本は「たがやす」ことです。
田畑はもちろん、 たとえば、 みずみずしい農産物、うつくしい花々、生活に息づく工芸品、自然の遊びなど、 この地域を豊かにするすべてのものは、 人を、技術を、文化をたがやし、今に続くものばかりです。
道の駅「花の駅 千曲川」が果たすべき使命のひとつは、 地域の人々が自然に寄り添いたがやしてきたものを 、多くのひとに届けることです。そして、もうひとつの使命は、地域内外のあたらしい文化や人、技術など 地域に眠る魅力を発掘し、地域をたがやし続けることです。
地域を伝え、地域をたがやすことを通じて、わたしたちは常にお客様に 「ひらめき、みちる」心わきたつ体験を提供します。
その先にあるのは、人と人、地域と地域、人と地域をつなぐ場所。 わたしたちは、「たがやす」ことを通じて、「つながる場所」を創造していきます。
それは地域のみらいをつくりあげる‒‒‒‒ 地域のみらいをたがやすことだと考えます。
(道の駅「花の駅 千曲川」の理念より引用)
今回は、飯山を“たがやす”ために掲げられた 3つキーワード「ひらく」「むすぶ」「かさねる」に注目し、それぞれが施設の中でどのように体現されているのか、支配人である片山和哉さんにお話をお聞きしました。
「場所をひらく、心もひらく」
→ 新たな発想で、ひらかれた道の駅をめざします。
片山支配人「まず入口部分には、新たに外売り場ができました。屋根もあるし、リニューアル前と比べるとだいぶ広いですね」
秋〜冬前の農産物直売所の定番風景といえば、店先に並ぶ大量の「野沢菜」。
これまでは駐車場エリアと隣接した限られたスペースで販売されていた為、1日に複数回も搬入する生産者と購入したいお客さんとで、大変混み合っていました。
屋根付きの広いスペースを確保した外売り場を設けることで、以前よりもスムーズに買い物が楽しめます。そして、常設のレジもあるので、店内に入らなくても買い物が可能です。
片山支配人「小さなお子さま連れも大歓迎!おむつ替え室だけでなく、新たにおむつの自動販売機も完備しています」
東側の入口には、「おむつとおしりふきの自動販売機」を新たに設置。
例えば「おむつを忘れてしまった」や「おむつが足りない」とお困りの場合でも、24時間気軽に立ち寄れるので、赤ちゃんとのお出かけも安心です。
営業時間内には「おむつ替え室」や、「授乳室」も利用可能。子育て世代には嬉しいポイントです。
また、Café里わでも、子ども用の椅子や、小さな子どもでも座りやすい低めの椅子を用意するほか、新たに「お子様カレー」も登場しています。
片山支配人「Café里わのオープンキッチンも“ひらく”に当てはまりますね」
料理する姿が客席からもよく見える、開放的な厨房。食事を待つ間に、いい香りや調理の音も合わせて楽しみたいですね。
「耳を澄ませて、絆をむすぶ」
→ ⼈と⼈、⼈とものが結ばれる場所をつくります。
片山支配人「カフェでは、引き続き直売所と提携して地元食材を使用しています」
リニューアル後も変わらず、食材にこだわっているCafé里わ。
旬の時期に合わせ、野菜などは農産物直売所から直接仕入れることも。使用されている食材については、食事と合わせて付いてくる「シェフ厳選食材カード」をぜひチェック!
片山支配人「ショーケースにもぜひご注目を。市内の菓子店とCafé里わのコラボ商品も続々と登場しています」
Café里わでは、市内に点在する和洋菓子店のスイーツを各種取り扱っています。
中には、里わ×市内の菓子店がコラボした、ここでしか買えない限定商品も登場中! プライスカードに付いた「緑色のポップ」が目印です。
片山支配人「イチオシ商品『里わビール』のラベルと道の駅スタンプは、地元のデザイナーさんとコラボしました」
リニューアルに合わせ、お土産物売り場では、おとなり野沢温泉村のブルワリー「Anglo Japanese Brewing Company」によるオリジナルビールが登場。原料である、ホップと麦芽が擬人化された可愛らしいラベルは飯山在住のデザイナー・azmoriさんによるデザインです。
同じくazmoriさんによるデザインの「道の駅スタンプ」は、実はビールで描かれた2人の未来の姿なんだとか。どなたでも自由に押せるので、来訪の記念にどうぞ。
片山支配人「今後は、関係する学校や団体、交流都市とのコラボイベントも積極的に行っていきたいですね」
店舗入口前では、外部の方とコラボしてポップアップ形式のイベントを実施。これまで西武文理大学、地元の小学校からの出店のほか、JAによるりんごの即売会などが行われました。今後のコラボ企画にも注目です。
「古きを訪ねて新しきを知る」
→ つみかさねた知恵を未来につなぎます。
片山支配人「県産材や古材、伝統工芸の『内山紙』を使用した什器を用いたディスプレイも見どころですね」
直売所のフロアには2つの出入り口があり、北側には「リヤカーの棚」が、そして東側の入口には雪よけの屋根である「雁木(がんぎ)モチーフの棚」が出迎えてくれます。
古き良きものを生かしたアイディアで、入店時に大きなインパクトを与えてくれるこの棚は、飯山出身の木工作家・松木啓直さんによるもの。施設内にある什器や家具デザインは、ほぼ松木さんが手掛けています。
直売所では、商品棚に敷いていた「緑の人工芝」を撤廃。
美しい木の表情を生かした温かみのある棚に生まれ変わりました。その棚に合わせ、生産者が自由に掲示できるポップも、統一のあるクラフト用紙を使用するルールに。
そして、箱菓子などの棚の上に設置されている「和紙パネル」にはお気づきでしょうか?
これは市内の和紙職人に依頼し、プラスチックボードに「内山紙」を貼ったもの。光に透けて、和紙ならではの繊細な質感がさりげなく空間を演出してくれています。
全てのディスプレイは、今回のリニューアルで新たに設定された「デザインコード」を基準に展開されています。
片山支配人「そして、玄米からお米を量り売りで購入できるようになったんです」
米どころ・飯山を含めた北信地域のお米の美味しさを改めて見直すきっかけになるよう、直売所の一角には、新たに精米機が設置されました。
お米を必要な分だけ、好みの歩合で精米できるのがうれしいポイント。もちろん、玄米のままでも購入可能です。ぜひ異なる品種を食べ比べて、お気に入りをみつけてみてはいかがでしょうか。
令和5年には、併設予定の「アウトドアショップ」や「ビジターセンター」の完成が控えている道の駅。今後ますます、飯山で注目が集まる施設となりそうですが、この先の事業計画として「100プロジェクト構想」というものがあります。
ー「100プロジェクト構想」ってなんですか?
片山支配人「スタッフや道の駅プロジェクトのメンバーを中心に、実現可能・不可能は気にせず、立地や施設を活かしてできそうなこと、やりたいことを自由なアイデアで募ってリストアップしたものです」
ー ちなみに、早速 実現しそうなプロジェクトってあるんでしょうか?
片山支配人「すでにやっていることもあるのですが、まず春に実現しそうなのが『ふるさと納税の自動販売機』ですね。お米や地酒、道の駅オリジナル商品など、現地で気軽に引き換えができるようになります」
※追記※2023年4月より農産物直売所にふるさと納税自販機が設置されています。
ー ほかにも、農産物のサブスクリプションサービス、キッチンカーで営業活動、ドライブインシアターなど、気になるプロジェクトばかりですね……!
片山支配人「特にイベント系は積極的にやっていきたいですね。アウトドアショップとのコラボだったり、お花の教室だったり、ワークショップだったり。今までの施設やチームではできなかったことがたくさんあるので、実現に向けて楽しみです」
ー 道の駅の楽しみ方がさらに広がりそうですね。
片山支配人「スタッフたちとも共有しているのですが『よくある道の駅』というよりも『セレクトショップ』という意識があります。『ひらめき、みちる』が体験できる施設として『ここに来ればいつも発見があるね』と、思ってもらえたら嬉しいです」
今回のリニューアルにあたり、陰ながら尽力されていた3名の方にインタビューを行いました。
【道の駅プロジェクトの全体調整担当】
◎飯山市役所経済部商工観光課 道の駅プロジェクト推進係長 宮澤千早さん
ー プロジェクトを通して、なにか気付きはありましたか?
道の駅プロジェクトを進めるなかでたくさんの道の駅を調査しましたが、これまでの道の駅「花の駅 千曲川」へのお客様の評価の高さに改めて驚かされました。小さな施設であったからこそできる、お客様に対する温かみのある対応が評価されていたのだと思います。
ー どんな施設になっていってほしいですか?
今回の拡張整備で施設が大きくなりますが、これまでの評価された部分を大切に残したいと常に考えていました。 今後は、遠方からの来場者に愛されるとともに、この地域の皆様からも愛され、参加していただける施設になってほしいと思っています。 私もできる限り協力します!
【コンセプト会議の進行・策定担当】
◎編集室いとぐち 山口美緒さん
ー このような役割は初めてだったとお聞きしました。
最終的にどうまとめるのが良いのか暗中模索のスタートでしたが、会議メンバーの皆さんが本当に前向きで、必ず楽しくて良い仕事になるという確信を持って取り組みはじめました。施設はもともと利用者から親近感・好感度ともに高かったので、そのイメージを崩さずその先を提案することはハードルが高く、やりがいのある仕事になるだろうとも思いました。
ー コンセプトを作り上げていく過程はいかがでしたか?
会議ではメンバーのみなさんの飯山へのあふれる愛情と、こうありたい、もっとこうでなければならないという、地域への向上心を強く感じました。それに見合うコンセプトやコピーとはなんなのか、そもそも飯山とはどんな風土でどこに向かうのかについて、思考の旅、言葉の旅を重ねてきたという感覚です。
ー リニューアル後の施設をご覧になっていかがですか?
訪れる人が期待を寄せ、楽しんでいる様子もうれしかったですが、なによりも、働く人と並んだ商品が輝くように見えたのが印象的でした。これからソフト・ハードともにより充実した場所へと成長していくなかで、それを担うのは現場で働くみなさん。笑顔で働いている姿を拝見して、より良い場所に育んでくださるだろうと思いましたし、そのときに今回、策定したコンセプトが土台となって息づいてくれたらうれしいです。
【家具類全般のデザインと製作担当】
◎木工作家・松木啓直さん
ー 飯山市のご出身なんですよね。
地元飯山では、畑仕事など農作物を作っている風景を幼い頃から見てきました。そのような田畑の風景や飯山のまち並みを少しでも表現できればと思い、形にさせていただきました。
ー 実際に什器や家具が設置されたのをご覧になっていかがですか?
レストランの家具やお土産と野菜売り場の什器のほとんどが地元産の無垢材を使い、手作りで作りました。 木が持つ温かみと、無垢材の存在感が表現できたと思っています。 各売り場に形の違う什器や家具を配置することにより、見ていて飽きのこない、楽しめる空間になったのではないかと思っています。
ー 今後、どんな道の駅を期待しますか?
近年、健康志向が高まっています。 無農薬で良いものを作ることは難しいとは思いますが、飯山市の農産物もオーガニックの物が増えて、たくさんの種類が店頭に出ることが一消費者としての希望です。
多くの人々のさまざまな想いが集結して、新たに生まれ変わった 道の駅「花の駅 千曲川」。令和5年を予定しているグランドオープンに向けて、まだまだ目が離せません。
地域をたがやし続ける施設で、心がわきたつ体験をしてみませんか?
「食卓にしあわせ、暮らしに彩り」を与えてくれる直売所や、「地域のおいしいをまるごと」楽しめるカフェレストランが、みなさんを待っていますよ。
では、みなさまよい週末を!
※追記※2023年11月1日、「モンベル飯山店」と「ビジターセンター」が完成し、ついにグランドオープンを迎えました。ビジターセンターを特集した『エリア拡大!飯山市の“みらいを、たがやす”道の駅「花の駅千曲川」』も公開中ですので併せてご覧ください。
お問合せ | 道の駅「花の駅 千曲川」 |
電話 | 0269-62-1887(8:00〜17:00) |
公式WEBサイト | https://www.chikumagawa.net/ |
執筆:くわはら えりこ
撮影:太田 孝則
記事公開日:2023年2月14日
記事更新日:2023年12月25日